髪の短い天使



「じゃあ、失礼ですけど、横山さんと呼ばせてもらいます。ところで、横山さんは授業ないんですか?」








学年主任と言うほどなんだから、何かしらの教科の先生だろう。








授業はないんだろうか……







「ええ、まあね。」








ならいいんだけど……








どうしよう、話が続かない。








私が焦っていると、横山さんが言った。








「美幸さん、天使って信じるかしら?」








須藤さんから、美幸さんになったのが、ちょっと嬉しかった。








「え……あんまり……」








天使って、人間が都合よく作り上げた架空の存在だと、私は思っている。








「私はね、天使に会ったことがあるのよ。」








「えっ?!」








横山さんは、天使に会ったことがあるの?!








「私がまだ美幸さんくらいの、学生の時よ。私は、地味で根暗で、友達があまりできなかったの。そんなとき、天使に会ったの。」








横山さんが、地味で根暗?!







あんまり、今から想像するのは難しい。








< 173 / 182 >

この作品をシェア

pagetop