髪の短い天使
「じゃあ、失礼ですけど、横山さんと呼ばせてもらいます。ところで、横山さんは授業ないんですか?」
学年主任と言うほどなんだから、何かしらの教科の先生だろう。
授業はないんだろうか……
「ええ、まあね。」
ならいいんだけど……
どうしよう、話が続かない。
私が焦っていると、横山さんが言った。
「美幸さん、天使って信じるかしら?」
須藤さんから、美幸さんになったのが、ちょっと嬉しかった。
「え……あんまり……」
天使って、人間が都合よく作り上げた架空の存在だと、私は思っている。
「私はね、天使に会ったことがあるのよ。」
「えっ?!」
横山さんは、天使に会ったことがあるの?!
「私がまだ美幸さんくらいの、学生の時よ。私は、地味で根暗で、友達があまりできなかったの。そんなとき、天使に会ったの。」
横山さんが、地味で根暗?!
あんまり、今から想像するのは難しい。