髪の短い天使
「わぁー。ここの中学校は屋上入れるんだ。」
私がいうと、給水塔の梯子の方で、ギシッという音がした。
そちらを見る。
女子生徒が、いた。
髪が短くて、茶色い前髪の長い女子生徒。
夕焼けに光って、茶色い髪が、赤く見えた。
私は、とりあえず自己紹介をする。
「えーっと、この学校の生徒だよね。はじめまして。私は須藤 美幸、よろしくね。」
短い髪の女子生徒は、私をじっと見て黙っている。
なんか、私についてるかな?
私が、首をかしげると、焦ったように女子生徒が言った。
「あ、はじめまして。……私は雨宮 麗。……よろしく。」
同じクラスで、サボった子だ!ずっと、ここにいたんだろうな……
この時はまだわからなかったけど、私は出会ったんだ。
横山さんの親友のように、私の人生を変えてくれた、天使に……髪の短い天使に、私は出会ったんだ。
「あ、麗ちゃん。」
私は、合格発表を見終えたであろう麗ちゃんに、手を振った。
私は、長かった髪を短く切った。麗ちゃんには、オーディションのためと言ったけど、本当は、麗ちゃんを少しだけ真似たんだよ。
でも、やっぱり麗ちゃんには、敵わない……
だって、麗ちゃんは私にとって、短い髪の天使なんだもん。