髪の短い天使
そして
時は流れる。
あのときも、今も、なんの変わりのない校舎。
数々の生徒を、見送ってきた。
悩める生徒は、たくさんいた。
私は、その人にとっていい先生だったのかは、自分ではわからない。
応接室で、お茶をすすりながら、時計を見た。
あら、そろそろかしら。
そう思ったとき。
トントン。
ドアをノックする音がした。
「どうぞ。」
ドアがゆっくりと開かれる。
長く、綺麗な黒い髪、当時と変わらない白い肌。
昔より少し大人びた顔。
「失礼します。」
あら、もう一人。
短い髪。少し、色素の薄い。
髪型が少し男前だけど、顔が大人びたからか、しっかり女の人に見える。
「二人とも、久しぶりね。元気だった?」
「ええ、ドラマの撮影を終えてきたばかりなんです。」