髪の短い天使
そう言って、ニッコリと笑う黒髪の子。
「私は、新しい小説を書いてる途中で、寝不足なんですよ。」
二人とも、しっかり仕事をして、すっかり社会人だ。
自分が歳をとったと思い知らされる。
「あら、忙しい時に呼んでしまったかしら。」
いいえ。と言う二人。
本当に、大人になって……
「いや〜、美幸も私もあのときは、色々ありましたからね。」
須藤美幸と雨宮麗。今は、別の名字に変わったかもしれない。
「聞いてくださいよ。私たち、義姉妹なんですよ?私の兄と、麗が結婚したので。」
結婚……。
この子たちが卒業して、もう十年は経つ。
結婚はするわよね……
「二人とも、元気そうでよかったわ。」
微笑む、二人。
「でもまさか、あの保健室の先生が、美幸の言う横山さんだったなんて……」
まあ、あのときは、たまたま保健室の担当もしてたのよね。
そこに、麗さんがやって来て……