髪の短い天使


私はもう一度、笑った。








作り笑い……なのだ。








私が心底から笑ったのは、何年前だろう。







私の行動に、神谷が吹き出した。







「お前の顔は普通に、可愛いよ。」








神谷は、自分の言葉に驚いて、顔を赤くしていた。









こっちまで、顔が赤くなった。







可愛いなんて何回も言われたことあるのに、神谷に言われると何かおかしい。








「そういえばさ、なんで私がここにいるってわかったの?」











私は必死で話をそらした。









「俺さ、この倉庫の近くの木に登って昼寝してるんだよね。」










神谷はクラスの中で、浮いた存在だった。いつも一人でいた。








「で、永田が倉庫の鍵をかけて、なんか言ってるもんだから、なんかおかしいなって。」







永田とは、愛結美のことだ。








「そして、ちょっと扉からなかの様子をきこうとしたんだけど、人の声がしなかったから、俺の勘違いかなって思ったんだ。」








それはそうだ。だって、私はさっきまで寝てたんだから……








「でも、あそこの窓から中を覗いたんだ。そしたら、須藤が横になって目を閉じてるもんだから、死んでるのかと思ったよ。」









< 19 / 182 >

この作品をシェア

pagetop