髪の短い天使
私はもう一度、笑った。
作り笑い……なのだ。
私が心底から笑ったのは、何年前だろう。
私の行動に、神谷が吹き出した。
「お前の顔は普通に、可愛いよ。」
神谷は、自分の言葉に驚いて、顔を赤くしていた。
こっちまで、顔が赤くなった。
可愛いなんて何回も言われたことあるのに、神谷に言われると何かおかしい。
「そういえばさ、なんで私がここにいるってわかったの?」
私は必死で話をそらした。
「俺さ、この倉庫の近くの木に登って昼寝してるんだよね。」
神谷はクラスの中で、浮いた存在だった。いつも一人でいた。
「で、永田が倉庫の鍵をかけて、なんか言ってるもんだから、なんかおかしいなって。」
永田とは、愛結美のことだ。
「そして、ちょっと扉からなかの様子をきこうとしたんだけど、人の声がしなかったから、俺の勘違いかなって思ったんだ。」
それはそうだ。だって、私はさっきまで寝てたんだから……
「でも、あそこの窓から中を覗いたんだ。そしたら、須藤が横になって目を閉じてるもんだから、死んでるのかと思ったよ。」