髪の短い天使
「何じゃねーよ。なんで、永田に閉じ込められてんだよ!いつもされてんのか?」
心配してくれているらしい。
だめだよ、これ以上心配して話し掛けないで。
泣いちゃうよ。
実は、私はそこまで神経が強いわけじゃない。
本当は、今にも泣きそうなくらいこわかった。
足もガクガク震えている。
神谷には……他の人には、絶対に見られたくない涙。
私の足がガクガク震えているのに、神谷は気付いたらしく、私の足元を見ている。
「こわいのか?」
私は首を横にふった。
「じゃあ、なんで足、震えてんだよ。」
やだ、目頭が熱くなってきた。
「お前さ、いつも思ってたんだけど、本当のお前じゃないだろ。
本当のお前は、あんなに人にやさしかったり、謙遜するような奴なのか。」
やめて。
何も言わないで。
「本当のお前は、どこにいるんだよ。」
あ。
私はついに涙を流した。
いつぶりだろう、人前で泣いたのは。
神谷は私に笑いかけ言った。
「なんだ、泣けるじゃん。」
そう言って泣いてる私を、神谷は優しく抱き寄せてくれた。
神谷が小学四年生には見えなかった。
神谷の胸が暖かい。