髪の短い天使
「よく来たわね。あんた、自分の状況わかってないの?」
ああ、うるさい。
わかってるよ、そんくらい。
私は、愛結美が言ったことを無視して言った。
「で?」
愛結美は、少々不機嫌になりながら、私の方に近づいてきた。
「ほんと、あんたってバカよね。自分が置かれている状況すらわかってないんだもの。」
いつの間にか、愛結美の取り巻きは、私の後ろにいた。
ヤバイ……逃げ場を失ってしまった。
「あんたさ、今日も撮影だって言ってたよね?なのになんで、先生に寝坊って言ったのよ。カッコつけですか?」
愛結美がおどけて言うから、周りの取り巻きもつられて笑う。
だんだんイライラしてきた。
「何、その目。私がその気になれば、なんでも出来るのよ。」
愛結美が私の後ろにいる、取り巻きに合図をした。
私は誰かに両腕をつかまれる。
振り払えない。
愛結美が、ポケットからカッターを出した。