髪の短い天使


「よく来たわね。あんた、自分の状況わかってないの?」










ああ、うるさい。






わかってるよ、そんくらい。







私は、愛結美が言ったことを無視して言った。









「で?」









愛結美は、少々不機嫌になりながら、私の方に近づいてきた。










「ほんと、あんたってバカよね。自分が置かれている状況すらわかってないんだもの。」










いつの間にか、愛結美の取り巻きは、私の後ろにいた。









ヤバイ……逃げ場を失ってしまった。








「あんたさ、今日も撮影だって言ってたよね?なのになんで、先生に寝坊って言ったのよ。カッコつけですか?」











愛結美がおどけて言うから、周りの取り巻きもつられて笑う。









だんだんイライラしてきた。








「何、その目。私がその気になれば、なんでも出来るのよ。」










愛結美が私の後ろにいる、取り巻きに合図をした。







私は誰かに両腕をつかまれる。


振り払えない。









愛結美が、ポケットからカッターを出した。









< 24 / 182 >

この作品をシェア

pagetop