髪の短い天使
「おじさんが若いもんだから、小学生の時、クラスの奴に一緒にいるところ見られたんだ。
エンコーって言われた。
いくら説明しても、言い訳にしか聞こえなくて、生徒指導室におじさんが呼び出されて……大変だったんだ。
でも、おじさんと付き合ってはいないってことを、先生がみんなに言ってくれたんだ。」
今の言葉を、息継ぎをしないで言ったもんだから、息がはーはー言っている。
美幸ちゃんは、少し考えながら、言った。
「で、どうして、一人なわけ?」
「私は、その時から人が嫌いになったから。」
私の言ってることに、美幸ちゃんは首をかしげた。
「私は?人間だけど……?」
私は、美幸ちゃんに、美幸ちゃんがくる少し前の話を、することにした。
「うん、それは美幸ちゃんがくる、少し前のこと……」
私が話し始めようとしたが、美幸ちゃんはそれを止めた。
「美幸ちゃんって呼ばないで。」
え?
「美幸って呼んで。」
美幸ちゃんが、あまりに真剣な顔で言うもんだから、私は黙ってうなずいた。
そして、話を元に戻した。
「それは、私と美幸が出会う少し前のこと。」