髪の短い天使
Side 美幸
朝から、麗ちゃんの様子がおかしい……
どこかソワソワしている。
で、たまに私を見てて、目が合うとすぐそらす。
やっぱり、無理やり前髪上げて、ファンクラブまで作ったの、怒ってんのかな……
麗ちゃんの人気は、昨日のロミオとジュリエット事件(?)以来、急上昇中だ。
「ねぇ、麗ちゃん。」
私が近づくと、麗ちゃんはあたかも焦りながら、声を裏返しながら、返事をする。
「な、何?」
何を、隠しているんだ?この子は……
「さっきから、私に何か用があるの?」
麗ちゃんは、いかにもってぐらい動揺しながら、否定する。
「な、何にもないよ。」
嘘が下手くそなんだな、麗ちゃんって。
私はしばらく黙って麗ちゃんを、見つめていた。
麗ちゃんも私を見つめる。
耐えきれなくなって、麗ちゃんがため息をした。