髪の短い天使
「奇跡だ……」
得点板の前で誰もが呟くだろう……
ただいま、赤団と白団の差は何と五点差。
四組は、麗ちゃんが本気で頑張って、学年リレーが一位だったおかげで、四組中トップだ。
あとは、赤団が勝てば……
「美幸。」
後ろで誰かに呼ばれる、誰だかはすぐわかる。
後ろを振り返りながら、答える。
「何?麗ちゃ……ん。」
私が振り返ると、そこには沢山の女子生徒に、腕をつかまれている麗ちゃんがいた。
「はは。……助けて。」
麗ちゃんは、疲れていた。
実際、さっきの学年リレーのときの、人気はハンパなかった。
麗ちゃんの番になると、アナウンスの声が聞こえないほど、黄色い声が聞こえた。
私は、女子生徒の方に向かって、ニコリと笑った。
「麗ちゃん。」