rain×rain【完】


「僕たちは壬生浪士組として京へと行くことになったんだ。
その時の餞別としてミツ姉さんに渡したのが…君の持っているそのクシなんだ。」



土方さんが小物屋に特注したんだ。


もうからない道場で必死でお金を貯めて…

遠く離れていてもミツ姉さんが土方さんのことを忘れないように。



だからそれは世界にたった一つしかない。


「ミツ姉さんは…その後すぐに他の男と結婚した。」


桜ちゃんはそれを聞いて目を見開く。


きっと「最低。」って思ってるんだろうね

でも、それは違う。


仕方なかったんだよ。


沖田の家を継いでいくためには仕方のないことだったんだ。



生きていくためにはそうするしかなかったんだ。














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