rain×rain【完】
私は耳をよく澄ませた。
ドンドンと太鼓の音や笛の音。
「これって…」
悲鳴や叫び声なんかじゃなく、
明るく賑わう声。
「桜、入るぞ。」
この声は…
私の部屋の障子は開かれた。
その先には土方さんがいた。
「…今から外に出かけるぞ。」
少し照れているように見えたのは気のせいだろう。
「支度が済んだら玄関に来い」土方さんはそう言って無愛想に部屋を出て行った。
さっき笑ってくれたのは幻だったんだろうか?
土方さんの無表情にはさすがの私も顔負けだ。