rain×rain【完】
煮物に味噌汁、さばの塩焼き。
おばあちゃんのご飯は基本、典型的な和食だ。
「桜ちゃん、ここに来ても大丈夫?」
おばあちゃんは心配そうな顔をして私に言った。
お母さんはここに来ることをあまりよく思ってはいない。
まあ、複雑な家庭事情を考えると当たり前のことかな。
「別にぜんぜん大丈夫だよ」
私はにこりと微笑んだ。
だって、
ここは私が唯一笑える場所なんだから。
「あ、桜ちゃんいいものあげるよ。」
そう言っておばあちゃんは戸棚から持って来たのは、
黒を基調とした赤の牡丹が描かれたくしだった。