隣、空いてます
第一章 転校生
チュンチュンチュン...
朝が来た。
チリンチリンチリン!!
目覚まし時計が鳴る。
だけど今日は目覚める気がしなかった。
「深愛ーいつまで寝てるの!!」
お姉ちゃんが起こしに来た。
「今日なんだかすごく眠くて・・・」
「そんなことはいいから!!早く起きて!!
もう7時50分だよ!学校遅れるよ!!」
「ええええー!!もうそんな時間!?急げー!!」
いつも朝は姉との会話から始まります。
私はいつもこんな感じです。
お姉ちゃんは藍川柚愛。
私はお姉ちゃんと2人暮らしです。
両親は2年前に父親の方が仕事場の事故でなくなり
そのショックで母親は自殺してしまった。
そして今は大学3年生の姉と、中2の私の2人暮らしだ。
私達は、親戚から助けをもらいながら生活している。
姉も大学に入ってからアルバイトをたくさんして
家計を助けている。

「行ってきます!!」
私は家を飛び出た。
自転車に乗り
ダッシュで自転車をこいだ。
初夏の朝は涼しい。
普通は暑いけどまだ5月だから
少し肌寒い。
昨日梅雨に入ったから少し曇っていた。
「ひぃ~寒い・・・」
そういってると・・・
「深愛!!おーはよ!!」
振り返ると・・
自転車のブレーキをかけた友達の鈴香がいた。
港鈴香。私の大親友。
「鈴香~!!おはよー!!」
「あ!深愛聞いた~?今日転校生来るんだって!!しかも男~」
「え?転校生?何でこの時期に・・?」
「さあ・・・親の仕事の関係とかじゃない??」
その言葉が少し私の胸を裂かれた。

-親...その言葉が私にとってどれだけ辛いか...

「あ、深愛・・ごめん。地雷ふんじゃったよね??」
地雷とかそういう意味で言わないでほしい。
2年前のことでも私はまだ小学生だった。
あまりにも辛すぎる過去。
忘れられない過去。

...。
「ごめん、鈴香。まだ親の事引きずってて・・・」
「そっか...いいよ。大丈夫だよ」
「ありがとう...」
心が少し痛かった。

「ま、気を取りなおそ?ね?ね?」
「うん!」
明るい気持ちになれた。
無理に忘れようとするほど忘れられない過去。

私は封じ込めることにした。

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