ときめきパラノイア
大笑いとかそうゆうわけじゃなくて、
大島先輩の言ったことがおかしくて、
つい、笑ってしまったような、
くしゃっとした笑い顔……。
「チエちゃん……」
「どーした、香帆?最後惜しかったね、もしかしたら真柴先輩がゴール決めたかもしんないのに」
「ううん……いいの」
きっと先輩はああゆうポジションなんだと思う。
すごく先輩らしくって良い、と思う。
どうしよう、本当に真柴先輩しか見えなかった。
ちゃんと私は目に焼き付けられたかな?
今日はなんてラッキー、先輩のバスケしている姿や、何より初めて笑った顔が見れた。
まだドキドキいってる……。
「お、チエー。見てたんだ?」
大島先輩がチエちゃんに気付いて、こっちにやってきた。
「見てましたよーっ。先輩、超カッコ良かったですッッ!!」
チエちゃんが大島先輩と話すのに1オクターブ高音で話す。
でもそんな事私はどうでもよくって、大島先輩と一緒に真柴先輩が近付いてきていることに心臓が爆発しそうだった。
「バスケ久々だったからやっぱし鈍ってたけどね」
「そうですかぁ?相変わらず綺麗なフォームでしたよッ」
「そ?もっと言って」
大島先輩とチエちゃんが笑い合っている隣に真柴先輩がいるから、
本当に私の目の前。
どうしよう、どうしよう、こんなに近くにいるの初めてだ。
とんでもないチャンスのはずなのに、私は先輩のほうを向くことすらできなかった。
「あ、そうだ、この子……」
そう言ってチエちゃんが私の肩に手を置いた時、私はとうとう耐え切れなくなった。
もしかしたら自分は真柴先輩の視界の中にいるのかもしれないと思うと、
それほどに私の心臓は丈夫じゃない。
叫びそうになるのを必死でこらえたのはいいものの、
その3人に背中を向けて全力疾走で駆け出してしまった。