ときめきパラノイア
先輩を想って走り抜けるいつもの道。
私の高校生活は、先輩でいっぱいです。
角を曲がって住宅街。人通りの少ないこの道。
先輩が私に笑いかけたあの表情、あの声。
知ってしまったらもっと欲張りになってしまいそうで怖いんです。
でも、今はこのまま世界で滅んでもいいと思うくらい途方も無い幸せが、私を包んでいる。
私が勝手に引いていた先輩との線。
その線を先輩が踏み越えたあの瞬間を、ときめきと呼ばすになんと呼ぶのでしょう?
「……わぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
自転車から足を離して、ただ車輪が回るのにまかせて進む。
こらえきれずに口から溢れた大きな声、
私の想いと比べたらなんて小さいんだろう?
先輩のあの瞳に私が映った瞬間、絶対に忘れません。
自転車は進む、夕日に向かって。
私はこんなに綺麗な夕日見たことない。明日の朝日もきっと綺麗!
今ならこのまま、空だって飛べる気がした。
――――『大好き!』
END