ときめきパラノイア

チエちゃんは、わかってない。

なんっにも、わかってない。


真柴先輩は目立つグループにいるわけじゃないけれど、
誰にでも好かれるタイプなのだ。

この人は自分に何もしない、と安心感を与える人。

誰かに声を掛けられてもにこりともしないけれど、
掛けたほうはにこやかで、真柴先輩に絡んでいる。


その人たちは私が見ている限りまさに多種多様といった感じで、
私達が避けて通るような怖い雰囲気の先輩も真柴先輩に嬉しそうに話しかけてたりする。


よくひとりでいるのは、

真柴先輩は、

何にも染まらないから。


きっと自分を持っていて、
誰にも入れない領域を持っていて、
それが少し周りにも伝わるから。


群れないと何も出来ない人が多い中で、それってすごいことだと思う。


ひとりでいても涼しげで、
先輩の周りだけ空気が違って見える魔法みたいな先輩の魅力。

それがなかったら私は先輩を見つけることもできなかったし、
こんなに毎日が輝くこともなかった。


そう、先輩はいつも凛としていて……

でも何かに不満そうな顔をしていて、

特に朝は何もかもに絶望しているみたいな

憂鬱そうな顔で歩いている。
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