そこに咲くかたち。
時間はもう9時を廻っていた。 

夕食の約束で待ち合わせしたはずのあたしたちは、まだ車の中にいる。 




……外は、寒いから…。 




「あたしっていつも振られるんですよ。『重い』って。」

「え…?」 

「付き合うときは、まぁ、あたしからだったり、男から告ってきたり…どっちかなんですけど、別れる時は今まで全部振られました。全員に言われたんです。『おまえの気持ち重い』って…。」 

ゆいちゃんは遠くを見つめてるように見えた。 
寂しい顔を、してる気がした…。 

「あたしって外見こんな結構派手めだから……やっぱり軽く見られるんですよね。でも、あたしは好きになっちゃうと、もぅ周りが見えなくなるほどハマっちゃうんで…。」

あ……わかるかも…。 
あたしも、すぐのめり込むタイプだった。 

「毎日会いたいとか、電話繋がらないと『浮気してるんじゃ…』なんて考えちゃうし…、そのうち『束縛しすぎ!重い!』って、『もっと軽い付き合いできる女かと思った』って言われて終わり…。」

「ひどいね…。そんなの…」

ゆいちゃんは首を横に振りながら言う。 

「うんん……、実際あたしが『重い』のもホントだから…。」 

ゆいちゃんは「あはは」って笑う。 
苦笑いに見えた。  

「今のカレシと付き合い始める前、あたしカレシの他にもう1人、気になる人がいたんですよ。」











『重い』って…なんだろう…。

好きでも、受け止めきれない『重い』想いがあるなら…… 


それは 


どこへ行くべき想いなんだ…?




なぜ 
存在するの? 


< 117 / 384 >

この作品をシェア

pagetop