そこに咲くかたち。
なおくんのアパートの前に着いてあたしは電話をワンギリした。    

そのアパートの2階の窓から、なおくんが手を振る。 
あたしも手を振り返す。 
少ししてなおくんが荷物を抱えて階段を降りてきた。 

なんで荷物なんかもってるの? 


なおくんは運転席をノックする。

あたしはドアを開けた。 
「降りて降りて!」

「へ?なんで?」

「今日はオレに運転させてよ!……ダメ?」

「えぇッ?ってか、免許持ってるの?」

「もってるよ〜!ホラ!」 

なおくんはあたしに免許証を見せた。

「……………」 


あれ……?



「ね?オレに運転させて?海行こうよ♪」

「………うん…。」



なおくんに運転を任せて、あたしは助手席に乗った。 


なおくんは意外と普通に運転できている。 


楽しそうに、カーステから流れる曲を口ずさんで、体を揺らしながら、ハンドルを握っていた。 




あたしは………



苦しくなっていた…。





さっき見たなおくんの免許証の名前が、 





あたしが知ってるフルネームと違っていたから。



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