そこに咲くかたち。
「おはようございま〜す。」

あたしはいつも通り3時過ぎに出勤した。 
挨拶をしながら扉を開けると、こたつに座ったゆいちゃんがあたしに気付いた。
「みさきさ〜ん!!おはようございまぁす♪」

「おはよ〜、ゆいちゃん。まだ1人?」 

「マオさんがもうお客さんついてますよ。あ、あと、店長が今面接してます。そっちの部屋で。」

「面接〜?へ〜、どんなコ?見た?」

あたしはゆいちゃんの隣に座った。 

「見ましたよ〜。かわいい…いや、綺麗系?って感じですよ………、あれ?」

話ながらゆいちゃんは、あたしの顔を覗き込むようにして言う。 

「なんかありました?」

「えッ?!なんでっ!?」 

「調子悪くないですか?メイクのノリ。」

「……やっぱり…?寝不足なんだよ。ほとんど寝てないの。」 

あたしは鏡を見ながら、頬を触った。 

いつもと違う感触。 
ファンデーションのノリも悪い。 

そんな自分にさらに落ち込んだ。 

メイクのノリが悪かったり髪型がうまくいかないと、どうにも、力が出ない。
こんな状況がさらにあたしの気分を下げた。



「ももちゃんから連絡きたんだ。」

「えぇっ!?ホントですかぁッッ!?よかったですねッッ!………って…、なんでそれでそんなに落ちてるんですか……?」

「………ちょっと…、微妙な状況になっちゃって…ッッ……、
ゆいちゃんーーッ!」

「なっなに?みさきさん!?どうしたんですかぁッ!?」

あたしはゆいちゃんに泣き付いて話を聞いてもらった。 


ここ3、4ヶ月であたしは何度ゆいちゃんに泣き付いたっけ……。 

こんな仕事だけど…、 
あたしはここに来てよかったよ…。 


ゆいちゃんに会えたからね。 


あたしはゆいちゃん大好き。

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