そこに咲くかたち。
あたしはなおくんの部屋の前に立って、インターホンを鳴らした。

考えてみたら、今まで何度かアパートの前まで、送ったり迎えに行ったりした事はあったけど、部屋に入るのは今日が初めてだった。

緊張してくる。

すぐに鍵を開ける音がしてドアが開く。 

「愛希ちゃん!いらっしゃい!どうぞ、入って入って♪」

なおくんはいつものように満面の笑顔であたしを出迎えてくれた。 

「うん…。お邪魔します。」 

家にいるなおくんはいつもと少し雰囲気が違った。服はスエットだし、いつもはワックスでセットされてる髪が濡れて下りている。体からはいつもの香水じゃなく、石鹸の香りがした。

そんななおくんに、正直ドキッとした。

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