そこに咲くかたち。
「お疲れさま。愛希ちゃん!ビールでいい?」

なおくんは冷蔵庫を開けてあたしにビールを差し出した。 

「あ……、今日はいいよ…。運転できなくなっちゃうし……。」

あたしは断る。
でも、正直ビールの誘惑に勝てたことはない。

飲みたいな。

「ああ、ヘーキだよ。泊まっても。」

「何言ってんのッ。」

「なんでぇッ!?泊まらないのッッ!?」

「ばぁかッ!」

「あはは。よかったー!愛希ちゃん笑ってる。」

「え?」

「はい、飲みなよ。」

なおくんはあたしに、口を開けた缶ビールを渡した。 


微笑むなおくんの傍にいると、………どうしてこんな気持ちになるんだろう…。 

どうしてこんな…


あったかい気持ちになるんだろう…。 





この気持ちは…………なに?




その時ケータイが鳴った。 


なおくんのケータイ。 


着信音はミスチルの‘抱きしめたい’。 



なんとなく、嫌な予感がした。 


なおくんの表情が、少し変わった気がしたから……。

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