そこに咲くかたち。
「ねぇ、あたしが彼女にメールしたの、なんで分かったの?」 

「昨日、深夜ちょっと会ったから。」

「…………へ〜。」 

「ヤキモチ?」 

「ばぁか。」

「あはは。」 

「…ごめんね……。彼女、なにか疑ってた?」

「…ううん。笑ってたよ。面白いメール来たって。」

「……そっか。よかった。……いい子だね。」

「…………うん。気が強いけどね。」

「あはは。
……もう浮気するなよッ!」

あたしはジッとなおくんを見つめた。
なおくんも、少し間を置いて、強く言う。

「……わかってる。
 …おまえもな!!」

ふたりで笑った。
なんだか、なおくんと一緒に過ごした中で、今が一番笑えた瞬間だったような……
そんな気がした。

そしてあたしは玄関に向かった。 

ドアを開けるとき、なおくんが言った。

「もう、あの仕事やめなよ。」

あたしは止まった。 
目を閉じて、息を吸う。 
「うん。」

「………よかった。」

「もう、店の前でバッタリ!…なんてイヤだからね。」 

「そりゃそうだ。オレだって二度と遭遇したくないっ!
……今まで生きてきた中で一番の衝撃だったから。」

なおくんはあたしの背中を強く叩いた。
エールを送るように…。
強く。

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