そこに咲くかたち。

「ももちゃんじゃないの。あ、ももちゃんも、もちろんカレシなんだけど……、あたし………、もう１人……いて……、付き合ってる人……。」　

「え………」

「あっ引いた！？引いたよね…。」

「いや……引いてないけど……。ただ…、よくわからないんだけど……。」


あたしがそういうと、カノンちゃんは少し無言になった。……そして「全部、話していい？聞いてくれるの？」と言いながら…、泣き出した。　　







たいした事ない時に限って、『いっぱいいっぱいだ』なんて言える。　


人は、本当に『いっぱいいっぱい』になった時、自分が『いっぱいいっぱい』だなんて、気付かないんだよね…。　







あたしはカノンちゃんが泣き止むまで傍にいる。話を聞く。　


あたしはカノンちゃんが好きじゃない。　
いなくなってほしいと思った。　


今こうして傍にいるのは、半分は同情と好奇心。　

もう半分は……　


同じ匂いがしたから……。