そこに咲くかたち。
男の名前はヒロシ。 
何だかよく笑うカンジのいい人だった。 

でも、車に乗って「どうする?」なんて相談すると、普通な顔で「ラブホ行こう」って言い出した。

〔なんで男ってこうなんだ?〕

車に簡単に乗っちゃって、こんなこと思うのもナンだけど…。

あたしはため息をつきながら答えた。

「ヤだよ…。」

するとあっさりヒロシは引いて、カラオケに行くことになった。

〔あれ?〕

意外なほど、楽しかった。 

こんなことで、あたしのナンパに対する『怖い』はなくなった。 

ヒロシとはそれっきり。
カラオケして、バイバイ。

男と二人で遊んだのは久しぶりだったな。


これもハマりそう。 


それは次の日の出会いのための大事な『ワンクッション』だったと、後から思う。

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