そこに咲くかたち。
ももちゃんは、そっとあたしの手から缶ビールを取った。

「飲むの……やめろって、話できねぇじゃん……。」
「話……?」 

あたしはももちゃんから缶を取り返した。 

「あたしは聞くだけなんだから、飲んでたってかまわなくない?」 

そう言って、残ってたビールをまた一気に飲み干す。 

「やめろって!!話するのに待ってたんじゃねぇんかよッ!!」 
「は?何言ってんの!?あたしが帰れないの分かってて、鍵なんか渡したくせに!」 

ももちゃんは、動きが止まって…………表情が変わった。 

「…………ごめん…。」 

俯いてそう呟くと、ももちゃんは力が抜けるように、壁に寄りかかった。あたしは缶をそっとシンクに置いた。 


しばらく、沈黙が続いた。 


あたしは…何も聞けない。ももちゃんも、何も言わない。 




終わるときは、もうそこまで来ている…。 

沈黙は…、あたしにそう伝えた。 














「ももちゃんは、どうしてあたしをここで待たせたの?」 


ももちゃんはあたしを見た。 


「ももちゃんが何を思ってるのか、何を考えてるのか……、あたしは分からないよ…。どこにあるの?ももちゃんの気持ち……。」 






視界がぼやける。
涙が……出てるんだ…。 

泣きたくないのに……。
悔しい…。


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