そこに咲くかたち。
「愛希ッ!」 

玄関を出た所で、ももちゃんに腕を掴まれた。 

「待ってよ!ねぇ…勝手に………決めるなよ…。」

ももちゃんは、あたしの腕をしっかり掴んで離さない。

その掌から… 
何か伝わってくる気がした。 

「じゃあどうするの?」

意地悪な質問。 
きっとももちゃんは何も答えられない。 
あたしは分かってて聞いた。 


ももちゃんは多数の女の子付き合ってて、カノンちゃんはその中の1人で…。
しかも、別れ話の最中に告白された『妊娠』の事実なんて、簡単には受け入れられなくて、当然だよね。

でも、それじゃあ許されないこと、きっと分かってる。 

別れる、 
付き合う 
産む 
堕胎する 


きっと…… 
選べなかったんだ。 



どっちにしても、 
あたしはもう出る幕はない。 

出るつもりもない。 


あたしのそんな気持ちも伝わってるから…… 



何も言えないんだよね…。

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