そこに咲くかたち。
「じゃあね、ももちゃん…」

あたしは、ももちゃんの腕をそっと外した。 

「…愛希……。」 

「あ、こういう時は……、“バイバイ”じゃなくて………、

 “さよなら”……って……言うのかな…。」 




「愛希…!」



なんで… 


ねぇ、なんで………? 




「愛希…、俺やっぱり…」

あたしは両手でももちゃんの身体を押した。 
玄関に入らせる。 





なんであたしが…




「ももちゃん……」 

あたしはゆっくり上を向き、そっと…ももちゃんの頬に触れた。

「え…」







もう会えなくなるなんて…





あたしはももちゃんにキスをした。

初めて、あたしからしたキス。 

最後の、キス。 


そっと、唇が触れただけの、軽い優しいキス…。 


「バイバイ、



  ……………俊…!」 


あたしは全力で車に向かった。

「愛希ッ!」 

あたしを呼ぶももちゃんの声と 



ドア…を、蹴るような音がした。 




あたしはすぐに車を走らせる。 


涙は…… 
もう止まらないんだろうな…。

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