そこに咲くかたち。
ももちゃんのアパートはそこから20分くらいの所だった。 


位置的にはうちの店の隣の市だったけど、あたしはほとんど行ったことのない土地。 


スーパーやコンビニ、ビデオ屋などが近くにあり、住みやすそうな環境だった。

駅は遠いらしいけど、基本的に車行動だから関係ないと、ももちゃんが言っていた。




「着いたよ。ここ!」

「あ、うん。」

車が止まったのは、住宅街で、いくつかのアパートの棟が見える。車を降りたあたしは少しだけ足が竦む。



ドキドキしてきた。 



いや、ずっとドキドキしてたけど……。 


ももちゃんのアパートは外観は綺麗で新しそうな建物だった。 


建物の前には看板が立っている。 

『メゾン・シンフォニーB棟』 



冷たい風が吹き付けた。 

「寒いッッ。」

「ほら。」

ドキンッ 


ももちゃんがあたしの手を掴んで引く。 


あったかい…手……。 


あたし達は手を繋いでももちゃんの部屋に入った。 






ももちゃんは……

どいういうつもりで、手なんか繋ぐんだろ…。





ドキドキが止まらない。 



少しだけ…… 


怖かった。


< 91 / 384 >

この作品をシェア

pagetop