キミの歌、アタシの物語。
ほんとはね

死ぬまでずっと

一緒にいたかった。

病気ってわかっても

君がいなくなるなんて

想像できなかったから。



君がいること。

ただそれだけが私から見える

”君の証”で。

70回と110回の心拍数が

ただそれだけが君の

”生きている証”だった。



―――――――夏樹。

君は、幸せだった?

私はすごく

幸せだったよ。



あ、そうそう。

私ね

歌手になったんだよ。

まだまだ売れないけど

君が残してくれた歌

歌ったりしてるの。

そうだよ、あれ。

「心拍数#0822」

路上で歌ってるとき

あの女の子に会ったの。

そう

ピアノを教えたあの子。

病気

ちゃーんと治ったんだって。

話してるときに言われたの。

「あのお兄ちゃんに

ありがとうって言ってて」

って。
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