キミの歌、アタシの物語。
―――――初めてのキスは、涙の味がした。

別れ間際

涙で溢れたぐちゃぐちゃの顔で

君を見つめる。

まるで

ドラマの最終回のような。

ヒロインと主人公が見つめあい

泣いているヒロインに

主人公は言うんだ。



「じゃあね」



今だ、とでもいわんばかりに

君の乗る電車の

発車のベルが鳴った。



遠ざかっていく君。

ただ

立ち止まって泣いている私。



「・・・また、ね」



弱虫な私。

いなくなった君に

サヨナラも言えないなんて。
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