キミの歌、アタシの物語。


足を止めてしまうと

その思い出も全部

思い出してしまうから。

これから一人になるけど

絶対泣いたりしないから。



そう思った途端に

空から雪が舞い降りてきた。

手を伸ばして

その雪に触れてみる。

雪は私の手の上に落ちて

溶けて消えた。



―――――君が行ってしまう日。

私は大通りを一人で歩いてた。

カップルの二人が

幸せそうに寄り添ってる。



「ほら見て、初雪!」



君ともこんな風になれたのかな。

もっと

素直になってれば・・・。



カバンの中から包みを出す。

これは

君にプレゼントするはずだった

手編みのマフラー。

でもそれを

私はまたカバンにしまった。



前は

渡すつもりだった。

緊張して

でも友達に背中を押されて

渡そうって決心した。

でもその日

渡すのをやめたんだ。

君に好きな人がいるって聞いたから。
< 57 / 83 >

この作品をシェア

pagetop