100億光年先の君


どうしてあたしだけ……こんなに苦いの……?


彼が走り回っている小型犬を指差して、笑いながら何か言う。


どうでも良かった。
なんだかここにきてあたしの気分はすごく意地悪になっている。

この場所を一緒に歩いて、
あたしは君にすべてをあげたい、
なんでもしてあげたいって思ったんだ。
たった1回、季節が巡る間に変わってしまう気持ち。
何も変わらないこの場所で、あたしの何かがバクハツしそう。



ねぇ約束できる?

来年もって言える?

知らないことなんかほとんどなくって、

見飽きた顔で、

きっとなんでも予想できるでしょ?


それでも、
それでも絶対、
明日も明後日も来年も、
あたしに恋してくれるって言えるの?


「どした?」


足が止まったあたしの顔を覗き込んだ。
あぁ、だめだ。
なんでこんなに苦しいのかって、そんなの、わかりきってる。



(あたしばっかり)



「だいすき…………。」



あまりに変わらないから。
変わらないものなんてないはずなのに。

どんどん、どんどん、好きになって。

苦しいんだ、わかってる。
どうしようもないんだ。

< 5 / 8 >

この作品をシェア

pagetop