100億光年先の君
彼がきょとんとした顔をしているから、
あたしの胸の奥はぎゅぅぅぅぅっとつぶされそうになる。
そんな顔、しないで。
聞こえないふりをして。
そうしないなら、ちゃんと返事をして。
耐え切れなくなって、あたしの体のあちこちは熱くなった。
ぼろぼろぼろと雫があふれて、止まらない。
(だいすき)
「ぅ……うぇ……うっ…うわぁぁぁん……っ…っく……」
「お…おい、どうした?どっか痛いのか?」
あちこち痛いの。
君のせいよ。
慌てたように彼のごつごつした指があたしの頬を拭う。
あたしは大声を上げて泣いた。
みんな見てる。
いいの、困っちゃえ。君なんか困ればいい。
彼の心は大きくて、温かくてひんやりと心地良いモノ。
あたしはそれに触れるたび、
じんと染みて、苦しくて、甘いものが溢れてしまう。
苦さが残るの。
それが溜まって…溜まって…だいすき、って言葉だけじゃ消化できなくなる。
わがまま、欲張り。
あたしのキモチ。
「あぁもう、なんかよくわからんけど、わかった、わかった」
彼がじれったそうにあたしの顔を自分の胸に押し付けるようにして抱き締めた。
ぽんぽん、と背中を叩かれると小さい子にでもなった気分。