THE BEST REVENGE
奏梧は街できっと一番最低な
このトイレの中で
日向に捧ぐレクイエムを
静かに送ることにした。
宛先不明ですぐに帰ってきたメールは、
自らの中にいるのだろう日向に
メールがちゃんと届いた気がして、
なんだか気持ちがこそばゆかった。

奏梧は口ずさんだ。

どこまでもかなえられない願い、
刻まれたライン、
その詩を心の中に送信すると、
たっぷりと水の入ったコップを
見つめてゆっくり首をかしげた。
あらぬ方向からのデジャヴを感じながら
コップの水を飲み干して、
割れた鏡に映った自分を再び見つめ、
ひときわの変化を促した。
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