THE BEST REVENGE
「行こうか……」
黒色の帽子を深くかぶり、
鏡の中にいた、
捨てたかつての自分に
こう言い残した。

「……びびってんじゃねぇよ」

川の辺の光景から、水面へ、
光に包まれていく日向を描き、
乱暴に投げ捨てたコップは
闇に包み込まれていった。
外へ飛び出すと、
燻った、やきもきとした感情を
捨て去るように前足を蹴り上げた。

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