THE BEST REVENGE
——人生は、語るに堕ちるもの。

奏梧のそれはひどいものだった。
悪どい事もしたが、
その稼ぎのおかげで
奨学金制度にひれ伏すことなく
大学に通えた。
里子に出される時点で
憐れみの愛に浸って、
悲劇のヒーローを気取ることに、
充実感さえ憶えたこともあった。
幸いいじめはなかった。
殆ど自らのプライベートを
公開しなかったからだ。
都合のいい物だけ
開けっぴろげして
良くハッタリかまして
小遣い稼ぎをしていた。
そのおかげであの頃の仲間のことは
かすんでいく思いでの中で
綺麗に美化されていった。

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