THE BEST REVENGE
銀行内には、支店長とマヤがいる。

客は、ほとんど来ない。
古びた建物から物語る
エキセントリックな雰囲気に、
謎をかけられたように。
ここはやがて物語へと誘われていく。

支店長は、余りに似合わない、
管理者のイスに腰掛け、
物思いに耽っていた。

「参ったなぁ…」

支店長を軽く見つめながら、
マヤの動きは次第に慌ただしくなる。
支店長はイスを立ち、
距離を置いて、
つぶやくようにしゃべり出す。

「動機を思わせるような資料や色々…何もかも処分した。なのにどうして今さら――」

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