THE BEST REVENGE
花も何もない。
だけどその手からにじみ出る熱だけが、
失われた彼女の温もりを恋しがっていた。

普段、外を歩く人など
ほとんどいないこのさびれた街路は、
見渡す限り見事にがらんどう。
おかげで難なくたどり着いた。
色褪せたナイロン製の看板と、
埃被ったショーケースが
よく似合う煙草屋がある。

その店の名は「ジョー・ストラマー」。
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