THE BEST REVENGE
ただ、いつもの会話の中で、
いつもと違う不自然さに気付くと
何か言わずにいられないものだ。

店を後にする彼に
せめて皮肉のひとつでも漏らそうかと
ルーシーは思案を巡らせた。
だがその後ろ姿を見るうちに、
やっぱり野暮なことは止そう、と
心に決めた。

奏梧は煙草を手に取り、
真新しい箱の封を荒々しく破り
開けておもむろに一本取り出す。
粉雪交じりの煙から、
幸せな過去を見つめ、
そして吐き出すとともに
それを捨てた。


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