THE BEST REVENGE
警察にとって幸いだったのが、
彼女が元々孤児だったことだ。
その不可解に対し、
異議を唱える家族が、
誰もいなかったことが、
警察にとっては幸いだったのだ。
次の日の葬儀は結局、
棺桶の中身が殻のまま行われた。
家族なんて居ない彼女だったから、
もっとも死に顔を見送られたくない
施設の人間たちによって
まことしめやかに取り繕われ、
とっとと送り出された。

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