初恋☆夜空
初恋のひざこぞう
「おかえり、花。
オフロ、こわれたから」

家に帰り着いたとたんに、母が台所から顔をひょっこりと出して、花に言った。

「えっ!?どゆこと?」

靴を脱ぐ間もなかった。そのまま、玄関に立ち尽くす私に、母は続ける。

「お湯がでないのよ。明日、修理に来てもらうから、今日は銭湯に行ってきて」

「ウソ~‥」

今日は部活がいつもより長引いたから、毎週見てるドラマが始まる時間まで、あと1時間30分位。頑張れば、間に合いそう。…けど、それよりも、2月の夜はまだまだ寒い。せっかく帰ってきたのに、また寒空の下へ戻るのは…

「あんた、まだいたの!?」

立ったまま考えてた私に、台所から出てきた母がびっくりした様に声をかけてきた。
そして、トイレの方へ移動しながら、続けた。

「早くしないと、あんたが毎週見てるドラマ始まっちゃうよ?ご飯ちゃんと食べないと、見せないからねっ」

「えーっ!?何で?」

「いーから。寒いなら、これあげるから‥早く行って帰っといで」

そう言って、手に何かをにぎらせてきた。

「カイロだ」

ほんわかと温かい。
台所は火を使ってても寒いから、いつも愛用しているのかな?

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