初恋☆夜空
「全然‥動かないから、どうかしたかと思ったよ?」

「え?」

「今も、だけどね。‥擦りむいたけど、大丈夫そうだね。…立てる?」

大きな手が、私の肘に、かすかに一瞬、触れた。
支えてくれようと、してるのかな?

「はい、立てます」

私は自分の力で立った。彼の手は、私に触れないけど、近くにそえられたままだった。

「ありがとう、ございました」

心をこめて、お礼を言った。とても、親切な人だと思ったから。

「どういたしまして。‥君、何だか危なっかしいね‥」

意外な事を言われた。
トロイとか、マイペースとかは、よく言われるけど…?

「私、痛かったからすぐ動かなかった訳じゃ、ないですよ?‥よく、母とか友達に、何をするでもゆっくりだ、って、よく言われるんです。…だから‥」

「‥ぷっ」

「だか‥え?‥」

「あははははっ」

「えぇっ?」

私はすごく驚いてるのに、何だか面白そうに笑ってる。‥私が、笑われてるのかな?

「ごめんっ。‥でも、俺が言ったのは、そういう事じゃなくて‥」

「?」

あわてて笑うのやめたのに、困惑顔の私を見て、また笑った。
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