言葉にならないほど愛してた。
けきょく二人は20分の休み時間が終わっても戻ってこなかった。

その時間は理科の授業だった。

授業のあと、

「千葉。これ理科室に片付けてくれないか?」

「はい。」

引き受けたものの理科室にいくのはイヤだった。理科準備室が近いからだ。

ガラッ

理科室はあまり好きではない。理科準備室におけばいいのに、いろんな生き物が

置いてあったりするし、実験あとのいろいろな薬品の匂いがするからだ。

のわりには、理科準備室にはこれといってイヤなものはない。

先生に頼まれたものを理科室に置いて理科室を出ようとしたときだった。

「あぁん・・・イ・・・イイ・・・一輝ぃ」

え?一輝?あたしはだめだとわかっていながら、静かに準備室をのぞいてしまっ

た。するとそこではあの女と一輝が互いに求め合っていた。

「・・・・」

言葉が出なかった。すると手の上に冷たいものがこぼれおちた。

それをきに涙が止まらなかった。その場でなくわけには行かなかったからトイレ

に駆け込んだ。必死に声を殺して泣いた。

あれから何分たっただろう?携帯を見ると、もう四時限目が始まっている時間だ

った。

「なんで涙がでたんだろう??」

あたしは考えた。すると頭には一輝の顔ばかりが浮かんできた。

「あっ・・・あたし・・・・一輝が好きなんだ。」

頬が熱くなるのをかんじた。

『あたしは一輝が好きなんだ』
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