君を好きになって良かったこと
あの日の夜
本当に電話をかけて来た君に
相変わらずあたしは
優しくなかったよね。


だけど普段より少し
会話が出来たのはきっと
君の顔が見えなかったからだね。


話したくないわけじゃないけど
話せないあたしには
電話は好都合だった。



なんの話しをしたか
もう細かく思い出せない。


とにかく緊張していたあたしは
電話のあとも
君の余韻に酔っていたような感覚だったの。



君は
あたしが見てた君よりも
結構おしゃべり好きで
意外な一面を見たような気がして

また君をひとつ
知ったような気がして
嬉しかった。


だって
君への第一印象は
決して良いものではなかったから。


威張ってそうで
自信に満ちていて
カッコつけてるみたいに見えていたの。



だけど

第一印象なんて
そのときのあたしには
所詮ただの第一印象になって消えていった。

あの日の電話がなかったら
君のそういう部分だって見れなかった。

第一印象なんかに囚われちゃ
何よりも損するって
あたしは気付けなかったかもしれない。



あたしは今も
第一印象の悪い人でも
出来る限り向き合いたいと
思っているよ。


あの日の君が
そんな今のあたしを
作ってくれた。
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