君を好きになって良かったこと
廊下ですれ違うたび
笑うことも出来なくて
ぎこちなく
気付かないふりをしようとするあたしによく
とおせんぼしたよね。


あたしのした
ヘタな気付かないふりは
見事にバレていた。


君があたしを
覗き込もうとしたって
そんなの逆効果だった。


恥ずかしくて恥ずかしくて
うつむく癖がついてしまったけど
そんなあたしを
笑い飛ばしてからかった君。


今思うと
そんなめんどくさいあたしの癖


君が引いてしまっていたら
とおせんぼもなかったんだね。



あるとき
一瞬だけ合わせた視線

おもしろがって
無邪気に笑う顔も
あたしは知らないままだった


引くのは簡単なのに
めんどくさいことが嫌いそうな君が
せめて
おもしろいと思ってくれてよかった。


君の目を見て話したいってひとりのヒトに思うきっかけになったから。
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