ささやかではありますが
1年に1度の
普段千春(ちはる)は半端なく忙しくて、俺はよくわかんないけど、とりわけ2月はめちゃくちゃ忙しいんだって!不動産屋さんだからね!
しかも千春を地元に残したまま、俺は去年名古屋に転勤させられたから、そう簡単に会えない。嫌になるぜ遠距離恋愛。
バレンタインがあるけどしょうがないよね。俺にもバレンタインにチョコくれるかなあ。
そんなんだから本日2月3日が俺の誕生日だってこと、千春に言えずにいる。
多分覚えててくれてるんだろうけど、昨日もきっとくったくたになるまで働いてたんだろうし、水曜の今日、できることなら家でゆっくり休んでてほしい。
例え会えないどころか「おめでとう」のメールがなかったとしても、それで千春がしっかり休めるなら全然構わないし。
愛しちゃってますから。







そんな誕生日の朝早く、小さな小包が届いた。
まだ覚醒してないながらもヤマトからそれを受け取る。


「…あ」


サインする時、気付いた。
贈り主は千春。
一気に目が覚めたおれは、ヤマトが帰って即、千春に電話。


「……………なにー?」


まだ寝てるみたいだった千春は、低く甘い声で電話に出た。
そっか俺が寝てるくらいだから千春だって寝てるよね!失敗!


「何か届いた!」


でも俺は興奮覚めやらぬまま。


「…………誰から、何を?」

「千春からだよ!中身は……えっと、」

「…まだ開けてないんだ?」


ふっ、と千春が笑った。


「ちょっ、待って!今開ける!!」
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