ささやかではありますが
電話片手に、包みをがさがさ。
すると顔を出したのは、香水の箱とチョコの箱。
「開けたー?」
「なんっ、え、香水とチョコだっ!」
「創(そう)、慌てすぎ」
ふわぁ、と電話の向こうで欠伸をひとつ。
「一昨日仕事の帰りに送ったの。誕生日プレゼント…と、ちょっと早いけどバレンタイン」
そっか、それでチョコなんだ。
「折角の誕生日なのに会えないしね、このくらいはしたくって」
ごめんね、と千春が言う。
謝る理由がわかんない。
「すげぇ嬉しい!ありがと!」
「どういたしまして。誕生日おめでとう」
プレゼントが嬉しいだけじゃなくて、誕生日に会えないことが淋しいとかもうどうでもよくて、ただただ、忙しい日常でそれでも俺のことを考えててくれたことが幸せで。
「まじ愛してるし!」
たまらず、俺は叫んだ。
END.