ささやかではありますが
弱いのは誰?
晴天の霹靂とは、多分、こういうことを言う。







「付き合おっか」


ベッドに腰掛けて煙草の煙をふーっと吐き出し、匠(たくみ)はごくさらりと言ってのけた。


「…今更?」

「今更」


あたしの顔を見ず、匠は遠くをぼんやり見つめたままオウム返し。
あたしもまた、横になったままそんな匠をぼんやり見つめていた。
間接照明のひとつも点けず、カーテンは閉め切ったままだけど、もう何時間もこんな暗さの中に居れば、自ずと目は慣れてくるもので、匠の表情なんて容易に視覚として捉えられる。
だけど、その言葉の奥に潜む匠の考えていることが読み取れない。






匠との関係は、半年前から。
どっちがどう言い寄ったとか、そんなのはもう忘れたしそもそも最初からどうでもいいこと。
要はタイミングなんだ。
そういう状況でそれなりの相手であれば、そのまま泥沼に引き込まれるようにずるずると。
いつ始まったか解らない関係なんて、いつ事切れても不思議じゃない。
それでもあたしと匠は、週に1度は逢瀬を重ねた。
“やること”なんてただひとつ。
それでもあたしは別に構わなかったし、匠もそれで問題ないように思えた。
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