ささやかではありますが
未奈に言わせれば、俺は頭が弱いだけでなく男としての度胸も微妙に乏しいらしいので、女友達呼ぶよりあっさりしてるし、他の男友達呼ぶより安全らしい。
一緒に飯食って(作るのは俺)、一緒に映画なんか観て(TSUTAYAから借りてくるのは俺)、但し寝るのは別々(未奈がベッドで床が俺)。
女王様ですか貴女は。
それでもやってることはごく一般の彼氏彼女。
何が一般の彼氏彼女と違うかって、俺たちはあくまで“友人”であって、俺の気持ちだけが一方通行だってこと。






「風呂、できたよ」


お湯がいっぱいになった頃、部屋でテレビを観てる未奈を呼びに行く。
頭弱くても、未奈の好みの湯加減とお湯の量だけはしっかり覚えたよ。


「あ、うん。今入る」


返事しつつも、未奈はテレビから目を離さない。
早く入らないと風呂冷めるじゃん、折角ベストな温度なのに。


「直樹さ……一緒に入ろっか」

「……は?」



ちょっと待て、今聞こえなかったんですが?

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